PL人数３〜５人
◆シナリオ概要
海原るいか、十五歳。今年四月から私立水寺学園に通う、ごくごく普通の女子高生。
両親を早くに亡くした天涯孤独の身の上だが、けしてめげず、挫けず、日々を過ごしている。
……彼女が、今回君たちメイド諸君の仕えるお嬢さまだ。
幼い頃から苦労をしているため、家事万能。
奨学金で学校に通う身分であるため、勉学優秀。
毎朝の新聞配達と護身術で鍛えられた身体は、そこいらのチンピラなど足元にもおよばない。
さて、「見習いメイド」の諸君。
「ご主人様の持つ遺産相続権」を狙ってやってくる愚かものどもから、三日後に迫るお嬢さまの十六歳の誕生日まで、この穏やかな日常を守り切ること。それが、今回の任務だ。
健闘を祈る。
メイドRPG「新生活はメイドと共に」
さあ、ご奉仕の時間だ。
◆使用ルール
基本ルール。見習い。篭絡。ランダムイベントは「恋する〜」のＰ72〈ハード〉
◆NPC
海原るいか（女性・１５歳）髪：金・瞳：紫紺
俗人／無力・人望／人見知り・傷跡／好みのメイド：クール／ストレス爆発：泣く
行動４・愛情５・熟練３・狡猾４・幸運０・根性８
この春から私立水寺学園に通うことになる、ごく普通の少女。しかし彼女の母親は、大沼グループの跡取り娘であった。
様々な努力の成果として完璧超人のようなスペックを誇る。
人見知りするがそれを隠すためつい居丈高な態度をとってしまい、あとで後悔することもしばしば。
右肩から左わき腹にかけて、背中に両親を喪った事故の際ついた大きな傷跡がある。
自身の誕生日が両親の命日でもあるため、誕生日に良い思い出が無い。
身長１５７センチ。父譲りの金髪、紫紺の瞳。つり目でツインテール（記号的なものは、姉さん、好きじゃないな）
「いったい今何時だと思ってるの？！ 非常識よ！」
「近所迷惑だわ。やめて」
「足手まといよ」
「この狭いアパートのど・こ・に住むつもり？」
「別に……一人より、二人でやるほうが早く終わるでしょ。感謝される謂れはないわ」
「嫌なの。ほんとは……こんなしゃべり方。この所為でいつも誤解されちゃって」
大沼池乃丞（男性・８８年）髪：白・瞳：黒
隠居／血脈・財力／誘拐経験・魔法使い／好みのメイド：クール／ストレス爆発：クスリ
行動２・愛情１・熟練３・狡猾１・幸運１・根性２
宿泊施設や百貨店を経営する大沼グループの頭首。
しかし彼の正体は、「魔女っ子いーくん」だったのだ！（本シナリオには一切関わりのない事実です）
一人娘の結婚に反対したところ家出され、ご自慢の魔法で検索するもヒットせず二十年の時が過ぎ。
ようやっとググれた頃には、娘と娘を奪った男は事故で死亡、一人残された孫娘は不遇をかこっていたという始末。
贖罪も含め唯一の肉親である孫に全てを遺そうとするが、ご自慢の魔法で彼女を狙う存在に気づき、メイドたちを派遣する。
鮫島法輔（男性・２５歳）髪：白・瞳：黒
シャドウ・エリート／ピッキング・支援／ハッカー・細い目／ハンドガン・棒術／憎悪／スーツ黒
行動４・愛情１・熟練４・狡猾６・幸運２・根性６
るいかのアパートの隣に住む好青年。…が、その正体は大沼池乃丞の執事であり、また主人に憎悪を抱く反逆者。
るいか抹殺を企てる、本シナリオのメイン悪役。池乃丞により一家離散の憂き目にあっている。
妹がPCメイドのうちの一人に似ている（絡ませにくい設定なら無視しても可）。
「こんにちは、初めまして。今日からお隣さんだね。よろしく」
「僕の正体？ ……池乃丞様から派遣された、君たちの監督官……かな」
「あの男は！ 俺の家族を、妹を奪い、踏みにじった！ 奴にも同じ思いをさせてやる！」
【メイドたちへの説明】
メイドたちは、大沼グループ頭首である大沼池乃丞によって雇用された。
しかし、実際に彼女たちが仕えるのは、池乃丞の孫娘である海原るいか。
るいかは早くに事故で両親を亡くして父方の親戚をたらい回しにされていたが、昨年池乃丞の捜索により所在が知らされた。
その結婚を反対したため娘に家出された池乃丞は、やっと見つけた、唯一直系である孫に自身の持つ全てを遺そうと思っている。…が。
当然ながら、それを快く思わない人間が、いる。それも複数。
自身の素性を隠し親切な「あしながおじさん」として学費と生活費を援助する一方、孫を守るため、君たちメイドを孫の下へ送ることにした。自分たちの真の雇用主である池乃丞のこと、遺産相続権のこと、命を狙う何者かのこと等は、お嬢さま、るいかには秘密。
さて、明日からお嬢さまは、用意されたアパートで新生活を送ることになる。
君たちは一致団結してお嬢さまのおはようからおやすみまでを支えるのだ。
【シナリオの流れ】
一日目
朝早く、お嬢さまであるるいかが住む、アパートの部屋の前に全員が揃うところから始まる。
当然ドアには鍵が。開ける？どうやって？
「無理やり開錠」→第一印象最悪。
「騒がしく中を呼ぶ」→まだ一般常識圏内だが、けして印象のよいものではない。
「礼儀正しく、手順を踏んでご挨拶」→あやしむが、とりあえずは招き入れてくれる。
けして、荒唐無稽なことが良くないとは、言わない。しかし一般常識を忘れて行動することにペナルティがあることを印象付ける。
お嬢さまへの説明はメイドたちに一任する。
引っ越したばかりのため、掃除や荷解きが当面の仕事。また近所へのごあいさつまわり、引越しそばの手配。この際、隣に住む鮫島とコンタクトを取らせる。
メイドたちが行動を思いつかずおろおろしているうちに、お嬢さまはどんどん自分で仕事をこなしていこうとする。メイドたちが仕事をしようとするなら、お嬢さまと対抗判定をしなければならない。
二日目
春休みのため、家にはお嬢さまがいる。ランダムイベントを起こし、お嬢さま抹殺イベント連発。
この日鮫島と会うと、自分経由で明日ご主人様に誕生日プレゼントが届く情報が得られる。
三日目
ご主人様の誕生日。「あしながおじさん」からのプレゼントが届いて喜ぶご主人様だが、ここでメイドたちに「狡猾」２０以上で判定させる。
成功すれば、中身が爆弾であることが判明。処理のロールへ。
（処理の方法はPLたちに自由にさせる。例：【行動】で窓の外に放り投げる。【狡猾】で解体する。【幸運】でたまたま触ったら停止した等）
全員失敗したら、「幸運」判定で３０以上。不発かどうか。
さらに失敗したなら、ご主人様に大怪我。
犯人は鮫島。問い詰めたところでラスト戦闘に入る。
【特殊ルール】
◆寵愛度について
本シナリオでは、寵愛度は主に「大沼池乃丞」から与えられるものとなる。
その場にるいかや鮫島がいれば、彼女たちから追加で寵愛度が入るシステム。
◆見習いメイドパワーについて
見習いメイドたち全員の力を合わせることにより、六種類のメイドパワーが使用可能だ！
全員が同一の能力値による協力判定で３０以上（寵愛度使用可）を出すことにより発動するぞ！
【行動】超回避…ストレス１Ｄ溜める代わり、対象の行動による攻撃を１回完全に無効化できる。
【愛情】愛情料理…手作り料理を食べさせた場合、相手はストレスが１Ｄ６減少。
【熟練】瞬間清掃…掃除の際のみ熟練＋１
【狡猾】高笑い…ストレスを与えた際、笑うことで与えるストレスを＋２する（要ロールプレイ）
【幸運】因果応報…幸運判定で攻撃を回避し、10以上上回って成功すれば２倍のストレスが与えられる。
【根性】ＫＫＤ…寵愛度一点で、受けているストレスの値を行動判定値に追加できる。
【エンディング】
鮫島を退け、平和が戻るアパート「メゾン・ド・イッコク」。あらためて誕生日パーティー…と、思ったら、るいかの姿が無い。
探すと、町外れの共同墓地にある、るいかの両親の墓の前でその姿を発見できる。
「おひさしぶり、父さん、母さん。しばらく来れなくてごめんね」
「なんかよくわからない連中が押しかけてきたけど……楽しい、の」
「こんな賑やかなの初めてで戸惑うことも多いけど。でも、元気にやってるから心配しないでね」
ここでメイドたちが乱入するかは、PL次第。
ただ、ここでの最後のやり取りの後、初めてお嬢さまが微笑んでくれる。その笑顔は君たちメイドが守ったかけがえのないものだ。
爆弾処理で失敗した場合、病院にてお嬢様はその短い生を終えることになる。
当然メイドたちは解雇。失業の事実以上に、お嬢様を喪ったことがメイドたちの心を苛むことだろう。